チューンの流れ
お客様の板をお預かりしてから、お返しするまでの工程を、 当店が実際行っている流れに沿って解説いたします!(画像はただいま準備中です)
では、スタート!
1.状態チェック・コース決定
お預かりの際に、まず板の状態をチェックします。
・板のキズの状態
・エッジのサビ具合
・板の曲がりや反りがないか
・滑走面のフラット具合
・トップシートやエッジの剥離や破損がないか
エッジの剥離や芯材の露出があった場合はコース外の修理が必要になる場合があります。 また、サビや傷があまりにひどいと、きれいに取り切れない場合もあります。 そういった点を報告しながら、チューンナップのコースをご相談します。
コースはお客様の予算や、道具へのこだわり、上達の目標などによってお勧めするものが変わってきます。 当店オススメは「手仕上げコース」です。 お客様の滑りに合わせてさまざまな微調整が可能だったり、エッジの角も綺麗に均一に出るので長持ちします。
当店にはコース以外にもさまざまなオプションメニューがあります。
機械を使いワックスを大量に、深く染み込ませることができる
「V-Thermo(ベースWAX浸透加工)」や「WAXフューチャー(滑走WAX浸透加工)」はオススメです。
コースやオプションが決定したら、納期をご相談して、お預かり完了となります。
2.滑走面のサンディング
まずは、サンディングマシンで滑走面を削ります。 滑走面を一皮剥くことで、滑走中にできた細かな傷を消したり、 ワクシングの際に失敗してできたアイロン焼けなどを取っていきます。 (ストラクチャーが入っている場合、ほぼ消えてしまいます。)
また、意図していない滑走面のコンベックス(凸形状)やコンケーブ(凹形状)がある場合は、 それをフラットな状態に近づけていくように研磨量を調整します。(「フラット出し」と呼んでいます) あまりに変形が大きい場合は、とりきれないことがあります。
80番や100番の目の粗いサンディングペーパーで荒削りをし、120番や150番のペーパーで仕上げをしていきます。 同じ番手でも新品と使い古したペーパーは削れ方が違うため、使い分けながら滑走面をきれいにしていきます。
何度もチューンナップしている板だと滑走面が薄くなり、芯材が露出してしまうことがあるので、 薄い板は慎重に作業します。(それでも、出る時は出てしまうんです…その時はゴメンナサイ)
3.エッジの仕上げ
エッジのチューンナップは、マシーンコースと手仕上げコースでは工程が異なります。
●マシーンコースの場合
サイドエッジグラインダー(サイドエッジ用のサンディングマシーン)でサイドエッジを研磨します。 角度は90度〜87度まで調整が可能です。
ベースエッジは、サンディングマシーンで滑走面を削る際に一緒に削ります。 おおよそ1度程度の角度(ビベル角)がつくよう、調整しながら研磨します。
●手仕上げコースの場合
ファイル(エッジ研ぎに使用するヤスリのことです)をファイルガイドに固定して、 エッジを手作業で削っていきます。角度は90度〜86度まで可能です。
そのまま削ってしまうとボーダー(エッジを補強するための部分)が邪魔して上手く削れないため、 ボーダーカッターで、強度を損なわない範囲でボーダーを削り取ります。
エッジに焼きが入っている場合はファイルが引っかからないため、ダイアモンドファイルで焼きを 取りながら削っていきます。
一度しっかり研いだあとに、使用する人に合わせてエッジの角やバリに微調整を加えます。
目の細かい紙やすりや、,イレイサーなどの道具を使います。
レースでアイスバーンを滑ることが多い場合はあまり角を落とさず、
操作性重視の場合にはエッジ全体をマイルドに仕上げていきます。
部分ごとに調整を加え、『トップはしっかり雪面に食い込むように、テールはずらしやすく』など、
お客様のフィーリングに合わせた調整が可能です。
そういった感覚がうまく表現できない方でも、『小回りが上手くなりたい』や『ゲレンデをかっ飛ばすのが好き』
など、滑りの好みや漠然としたイメージのみをお伝えいただいても、それに合わせたチューンナップが可能です。
順序が逆になりましたが、サイドエッジを削る前にベースエッジを削ります。
ベースエッジも、滑りのフィーリングに大きな影響を与えるので、お客様の要望に沿って調整していきます。 エッジグリップ重視なほど、雪面に食いつきやすいように角度を浅くします。コントロール性重視の場合は、 板を操作しやすいように角度や削る量を多めにして調整します。
4.ストラクチャー加工
専用のストラクチャーマシンを使い、滑走面にストラクチャーパターンを刻んでいきます。 標準では浅めの斜めクロスを刻み込みます。
ストラクチャー加工を施した板は、板の滑走性や直進安定性の向上などが見込めます。 直進が安定する反面、横ズレは若干しにくくなる可能性があるので、グラウンドトリックなどで 板をくるくるスライドさせるのを目的とする板には、加工しない方がよい場合があります。 当店では浅めのストラクチャーを入れているので、あまり『回らない』『ズレない』といった クレームはいただいたことはありませんが、ご依頼の際はご注意下さい。
5.仕上げ
滑走面もエッジも研磨調整を終えたら、最後に仕上げのワックス加工を行います。ワクシング以外にも、 エッジのサビ止めを行ったり、ストラクチャーの目を少しだけ潰して面をを整えたりすることで、 保管時の保護や、滑走性の向上を図ります。